【京都・嵐山】かつて貴族たちが愛でた川辺に佇む「祐斎亭」で「夢こうろ染」に触れる

 

嵐山の大堰川(おおいがわ)沿い、緑の中にひっそりと佇む一軒の邸宅。

2020年に一般公開されたばかりの「祐斎亭」にご縁をいただき、お伺いしてきました。

歴史的な建造物であることはもちろん、「夢こうろ染」とは、また染色作家・祐斎先生とはどのような方なのか、好奇心がくすぐられて胸を躍らせながら。

 

どこを切り取っても絵になる道中

祐斎亭

 

阪急「嵐山駅」から渡月橋(とげつきょう) を渡り、左手に桂川を眺めながら歩くこと10分強。川の名前が大堰川(おおいがわ)に変わる辺り()、右手に上がり階段が見つかります。階段の手前に、案内が出ているからきっとわかるはず。

たった10分ほどのこの道中が、なんとも風情がありフォトジェニック。エメラルドグリーンの水の流れを横目に、緑に包まれて歩いていると、まるでタイムトリップをしたような感覚になるおすすめの道です。

川の名前が変わる明確な位置付けはないらしい。当記事では渡月橋から上流へ少し行ったあたりのことを指す

 

有名カフェ「アラビカ」やホテルを通り過ぎたらこの別れ道を川辺へ

 

松の木とエメラルドグリーンの水面が幻想的

 

看板が出ていたらその階段が「祐斎亭」の入口

 

染色作家・奥田祐斎先生のアトリエ「祐斎亭」

染色作家・奥田祐斎先生のアトリエ「祐斎亭」

 

風光明媚(ふうこうめいび)な嵐山は、平安時代から貴族が別荘を構えた地。

今回訪れた「祐斎亭」もそんな嵐山の中でも一等地、王族貴族のみが立ち入ることを許されたと言われるエリアに建っています。

 

平安のときを感じる場所で

「嵐山 祐斎亭」は染色アートギャラリー兼工房で、建物自体は明治期の建造物で築150年を誇ります。かつては高級旅館「千鳥」として、京都の舞妓・芸妓が憧れた地であったそう。

開放されている部屋からは、かつて貴族たちが船を浮かべて遊んだ大堰川が臨めます。平安時代から続く、悠久のときの流れを感じるひとときを。

ちなみに庭は「瑠璃光院」を手掛けた庭師・松浦剛氏によるものなので期待して訪れたい。「瑠璃光院」と言えば、関西人にはよく知られている青紅葉、紅葉の名所ですからね。

 

川端康成が過ごした執筆部屋

離れには文豪・川端康成が籠って長編小説「山の根」を執筆した部屋も。

きっと彼もこの部屋で川の音や、木々が揺れる音に耳を澄ませて過ごしたのでしょう。創作意欲を搔き立てられたのが、少しわかる気がします。

またこの部屋には黒い面のテーブルが配され、景色のリフレクションを楽しむことができます。訪れたのが青紅葉の時期でしたから、一面緑が広がるミラーの景色を満喫しました。

 

静けさが心地よい「川端康成の部屋」

 

「瑠璃光院」を思わせる圧巻のリフレクション

 

お抹茶と絶景を堪能する「まる窓の間」

見学に含まれるお抹茶とお茶菓子のサービスは、「まる窓の間」で体験できます。

「川端康成の部屋」とはまた一味違う、まる窓が4つ並んだ部屋。フォトジェニックな写真撮影も楽しめますよ。

 

まるでかつての貴族になったような優雅な気分に

 

「まる窓の部屋」への案内も手作り

 

淹れたてのお抹茶とお茶菓子を美味しくいただく

 

「夢こうろ染め」の技術に触れる

 

建築物の奥へ進むと、祐斎先生の「夢こうろ染」のギャラリーショップ、工房があります。

「夢こうろ染」とは、太陽光で二色に変化する「幻の染」のこと。

日本最高位の染であり歴代天皇の「黄櫨染(こうろぜん)」が元になった染色技法です。

 

「幻の染」

黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)は重要な儀式の際に、天皇だけが着用できる第一礼服でした。一般人の目に触れる機会もなく、染色法が知られていなかったのが「幻の染」と言われた所以。

奥田祐斎先生が、その染を研究する機会を得て現代に再現し、新たな色変化やバリエーションを加えた染色技法を「夢こうろ染」と名付けたものです。

つまりこの技術で染色しているのは、世界で唯一祐斎先生だということ。先生が「人間国宝級」だと称されるのも頷けます。

「夢こうろ染」

ギャラリーショップで展示販売されている「夢こうろ染」で染色された服

 

室内でも光を当てるとこの通り!

 

MSLでお世話になっているローズマリーさん(写真中)も、こちらのスカーフを購入(オンラインショップでは現在は売り切れ)

 

 

祐斎先生から直々にお話も

 

世界で唯一の染色作家であり、パリのルーブル美術館でも作品展を開催した、という「人間国宝級」の祐斎先生ですが、ご本人はとっても気さく!

おしゃべりもお好きなようで、興味深いお話をたくさん聞かせていただきましたよ。

 

京都から、世界へ

先生の口から何度も飛び出したのが、「京都だからこそできる染だ」という言葉。

日本人の「わび・さび」や美意識を通し、かつ京都の軟水で染めるから出せる色なのだ、と。軟水は独特のにじみを表現するのに適しているのだとか。京都から世界にその技術を広めたい、ともおっしゃっていました。

今回はご縁をいただいてお伺いしたため、時間を多めに取っていただきましたが、見学プランで訪れても先生にお話をお聞きすることは可能のようですよ。

奥田祐斎先生のプロフィール

 

奥田祐斎先生の経歴

 

訪問は見学プランから 

通常シーズンの見学プランは30分で、お抹茶とお茶菓子のサービス付き。
申し込みやスケジュールなどはこちらからご確認ください。

【嵐山 祐斎亭】公式ご予約サイト

 

最後に

 

自然が好きな方も、歴史や日本の伝統技術に興味がある方も、それぞれの角度から楽しむことができる「祐斎亭」はまるで、知る人ぞ知る桃源郷のよう。

美しいものを愛でて、有意義な時間を過ごすことができました。

ちなみにこちらでぜひ見て欲しいのがバスルーム。

実際に使ってもいいのか、躊躇してしまうほどのアート空間です。あえて写真を載せませんでしたので、ぜひご自身の目で確かめてくださいね。

今のご時世に不安、また閉塞感を感じている方には、特におすすめしたい場所のひとつです。

文:mia 構成:mia

「嵐山 祐斎亭」

add:京都市右京区嵯峨亀ノ尾町六
access:京福「嵐山駅」より徒歩10分、阪急「嵐山駅」より徒歩20
HPhttps://yusai.kyoto/

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