サステイナビリティやフェアトレードなど社会問題を意識するのは、これからのビジネスでは大前提に【「alt. coffee roasters」焙煎士・中村千尋さん vol.3】

本来の自分と繋がり、イキイキとその瞬間を生き切る女性をインタビューしています。
前回に引き続き「alt. coffee roasters」の店主であり焙煎士、中村千尋さんにお話を伺いました。

◀◀vol.1「地球の裏側に暮らす人の笑顔まで想像し、皆が幸せに暮らせる地球を本気で目指す」
◀◀vol.2「コロナでの気付きが、さらに揺るぎない力に繋がり可能性が広がった」

インタビュアー・文・写真(人物):mia

まず現在の「alt. coffee roasters」が行うサステナブル(持続可能)な取り組みについて教えてください。

千尋さん:フェアトレードに限定したコーヒー豆の扱いや、動物性食品を一切使わないヴィーガンスイーツを提供することもそうですが、オリジナルグッズの販売もサスティナブルな取り組みのひとつとしています。

例えば「無添加のコーヒー石鹸」や「折り畳み式タンブラー」は、サステイナブルを意識した地球と人に優しい商品です。

今まで毎日破棄されていたコーヒー豆の出がらしを、どうにかして活用したいという想いから生まれたのが、無添加のコーヒー石鹸。パームオイルを使わず、高品質オリーブオイルやココナッツオイル、ひまし油を使用し、防腐剤の代わりに月桃や季節ごとのハーブを使っています。

この石鹸を商品化することで、コーヒー農園の人にも嬉しい循環がされることも目標のひとつです。

またお客さまが、同店での利用だけではなく自宅や職場でもコーヒーをエコに楽しめることを考えて、折り畳み式のタンブラーの販売も2020年の1月から始めました。

季節ごとに使うハーブの種類は、ローズマリー、ラベンダー、カモミール、ヨモギ、さくら、ローズヒップなど

折り畳めるタンブラーは持っているだけで、ちょっと誇らしくなる可愛さ

-どちらもギフトとしても素敵!誰かに贈ることで、優しさを「パス」するような素敵なギフトになると思います。
では、これから日本でサスティナブルなビジネスを行おうと思っている人へのアドバイスをお願いします。

千尋さん:日本では、特にそういったビジネスを始める人に厳しいと思うんです。ほら、自分の知らないことや新しい分野のことを始めようとする人に対して、色々と批判したり脅すようなことを言って来たりする人、いるじゃないですか。苦笑。

もし受け取る人にしっかりとした軸や自信がなければ、そんな風に言われると「こんなこと言われた!やっぱ無理だよな、止めようかな」と、いくらでも止める言い訳を見つけてしまうと思います。

まずお伝えしたいことは、周りの言葉を聞き流すことの大切さ

なぜならそういう人、つまり外野にいる人が、あなたのビジネスの責任を取ってくれるわけではないですからね。ハッキリ言って、気にすることは全くないということ。

-なるほど!力強いアドバイスです。これから始めるにはビジネスとしてはどうでしょうか。

千尋さん:このビジネスはまだやっている人も少なく、アイデアも出切ってないのである意味では、かなりやり易いと思いますよ。

大手企業も最近では「サステイナブル」「フェアトレード」という概念を取り入れ、頑張っているところも多いです。ただ、大手だけにすぐに変化できない部分もあると思うんですよね。スピード感に欠ける、というか。

も個人で始める場合、自分の好きなやり方でできるので何度でもトライ&エラーができ、成長しやすい魅力はあります。

それに今はどんなビジネスであっても、そのような視点なしでは先細りになってしまいます。最近の極端な気候変動などからもわかる通り、今地球は悲鳴をあげ、限界に近いとも言われています。これからビジネスをはじめるのであれば、どうすれば自然と、地球と共に続けられるかの視点や工夫は、どの分野でも必要ですね。

そうすればきっと、ひとりでも多くの誰かの笑顔に繋がるビジネスが実現すると思うのです。

目の前の人だけではなく、その商品やサービスに関わる全ての人がハッピーになるために、想像力を使ってみることが大切かな。
それができれば、続けるモチベーションにもなると思います。

また流れを読む力さえあれば、見切り発車くらいがちょうどいいと思います。

スタートさせながら軌道修正したり、改善を重ねたりしていけばいい。極論潰れても大丈夫なんです。一度始められたら何度でもスタートさせられる力が付きますから。

-経験からのアドバイスですね。ほかにもあり方というか考え方のアドバイスなどもあれば。

千尋さん:「自分が自分の邪魔をしないこと」、これがとても大切です!

私たちはそもそも、生まれてきた時点で素晴らしい存在だって信じているんです。
でも社会に出れば色んな人がいて、日々色んな人と出会いますよね。それが少し苦手な人だと、つい欠点を見つけて批判をしてしまいがち。

でも私は全て「加点式」で見ることにしているんですよ。

例えば、うるさい人だとエネルギッシュで明るいね、とか。その人すべてを否定する必要はなくて、いい部分を加点していけば、私は世の中に本質的に悪い人っていないと思っています。
それにそんな風に見ていくと、ネガティブな要素に思えることも全てポジティブに変換することが可能になるかなと。

私は自分を見るときも「加点式」です。笑。

するとどんどん自分を好きになっていくし、さらに自信にも繋がっていく、良いこと尽くしですよ!

それは自分のできない部分は認めた上で。それが悪いわけじゃなくて、できる人と補い合えばいい、と客観的に自分を理解する助けにも繋がります。

すると自分自身がまず楽になるし、人生で必要なタイミングで必要なことが起きていると実感できる体験がどんどん起きてきます。そして皆がこういう視点を取り入れたら、めっちゃめちゃ平和な世界になると思います!

だから自分の本来の輝きを邪魔しないで欲しいって思います。自分の個性や光を輝かせて、自分を好きでいてあげてください。

そうすると、ビジネスだけでなく全てのことがスムーズに回り出しますから。

彼女と話していると、常連さんがなぜ通ってしまうのかがわかる気がする

-わー、なんとも「MY SHINING LIFE」に通じるアドバイス!ありがとうございます。
 では最後に、これから「alt. coffee roasters」自体が、また千尋さん個人としてもどうなっていきたいか。それに絡めて理想の地球の在り方を教えてください。

千尋さん:繰り返しになりますが、地球の裏側で暮らす人の笑顔まで想像して、誰もなにも我慢や犠牲をすることなく、ハッピーに笑顔で暮らせること!

これをいつもいつも考えています。

そのために今私ができることって何だろうということ。

まずは問題をシェアして知ってもらうことだと感じて、それを行動に移しています。

私たちは結局、地球に住んでいる以上、地球が破壊に向かえばビジネスどころではないですよね。そもそも住むところなくなるし、作物が育たない土壌になったら何を食べて生きていくのか
実際に農家さんともそういう話をよくするのですが、今これ以上どこかに無理が生じることを続けることがもう不可能になりつつあり、そのしわ寄せは絶対に返ってくるんですよ。

alt. coffee roasters」としてももちろん、そんな中でも皆が幸せに続けられるビジネスを心がけていきますし、これからビジネスを始める場合は、どこにも無理を生じることなく回るビジネス、これを目指すのが一番いいと思っています。

非常に興味深いお話、ありがとうございました!

聞き心地のいいおっとりした京都弁で、ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくれた店主の中村千尋さん。その口調に反して、一度口を開くとよどみなくするすると話してくれました。

それは彼女がいつも、地球に住み続けるために自分のできることは何なのかを考えているからこそ。つい長居したくなる心地よい空間の中心には、いつもそんな彼女がいます。常連さんたちは皆、彼女との他愛ないおしゃべりや丁寧に淹れられた一杯のコーヒーから、彼女の作る「幸せの循環」に参加しているのです。

ちなみに今後さらに、ヴィーガンのフードメニューを展開する予定だそう。動物性食品を使わずに美味しさを追求した料理とのこと、今から楽しみです!(mia


alt.coffee roasters(オルト コーヒー ロースターズ)」
■add:京都府京都市 中京区 神泉苑町 28-4
■open:インスタグラム(@alt.coffee_ro)で随時チェック/不定休
■web:http://altcoffee-roasters.com/

タイトルとURLをコピーしました