地球の裏側に暮らす人の笑顔まで想像し、皆が幸せに暮らせる地球を本気で目指す【「alt. coffee roasters」焙煎士・中村千尋さん vol.1】

altcoffee

本来の自分と繋がり、イキイキとその瞬間を生き切る女性をインタビューしています。

今回の舞台は京都・二条城のお膝元、閑静な住宅街に佇む完全ヴィーガン・浅煎り専門のロースターカフェ「alt. coffee roasters(オルト. コーヒーロースターズ)」。

店主でありバリスタ兼焙煎士、最近では環境問題や社会問題の講師としても活躍する中村千尋さんにお話を伺いました。
きゃしゃで可憐な外見からは想像できないくらい、内に秘めた情熱を持つ素敵な女性です。

浅煎りスペシャリティコーヒーや天然素材にこだわった身体に優しいヴィーガンフード、そして店主の気さくでチャーミングな人柄に惹かれ、国内外からゲストが訪れる一軒。

お話を伺うほどにその理由がわかる取材になりました。

インタビュアー・文・写真(人物):mia

-まず「alt. coffee roasters」とはどういう場所でしょうか。

千尋さん:浅煎りスペシャリティコーヒーの焙煎カフェで、動物性食品を一切使わない完全ヴィーガンのお店です。

きっと完全ヴィーガンを謳う焙煎カフェは、日本初だと思います。

浅煎りコーヒーにしたのは、コーヒー本来の味を楽しんでもらいたくて。

コーヒーはそもそも赤い果実でとってもフルーティーなものです。コーヒー=苦いものと、苦手意識を持っている方も多いと思いますが、それは焙煎の仕方次第なんです。

コーヒーが苦手と言われる方でも、ここのは大丈夫と飲んでいただいたり。

さらにこの「究極の浅煎りコーヒー」を、ワイングラスで提供しているのも同店の特徴です。

コーヒーの新しい一面を知ってもらえると思いますよ。

極浅煎りのハンドドリップコーヒーをグラスで。初めてのコーヒー体験が待っている

「天然素材を使った季節の手作りケーキ」はもちろん動物性食品を使わないヴィーガンスイーツ

地元の常連客や海外からの旅行者が、思い思いに過ごす空間

-社会問題や地球問題への取り組みもされていますよね。

千尋さん:はい、フェアトレードの豆(※)を扱い、エコ製品の開発など発展途上国や自然環境を守ること、そして栄養士として健康に配慮して運営してきました。

お客さんはただ美味しくコーヒーやスイーツを楽しんでいて、実は「alt. coffee roasters」で過ごす時間で社会貢献ができちゃう、というのが理想。

でもお客さんと取り組みなどについて話すうちに、「動物性食品を食べなくなったら身体が軽く感じる」と言ってもらったり、タンブラー持参で来てくれる人が増えたりと、意識が変わっていく方も少なくありません。

それは嬉しいですね!

※『alt. coffee roasters』で扱うフェアトレードの豆は、必ずしも認証を得たりラベルを貼ったものだけではありませんが、持続可能なビジネスモデルとしてフェアトレードを取り入れていることを基準に選定しています。

-さまざまな職種を経験されていますが、ご経歴を踏まえた「alt. coffee roasters」の成り立ちについて教えてください。

千尋さん:栄養士と栄養教諭の資格を活かし、最初は児童福祉施設で主に障がいを持つ子供たちに食育やお菓子作りを教えていました。

このときに障がいを持つ人々の賃金の安さを知り、何か私にできることはないかと考えるようになりました。

そこで思いついたのが、私自身がカフェを運営すること。

こだわりの一杯と彼らが作る焼き菓子を一緒に提供するのはどうだろう、と。それが今の「カフェ空間を通して社会貢献」というコンセプトに繋がっています。

ただ実は、私自身はコーヒーを飲む方ではなかったので、視察や修行のためにとコーヒーのメッカのひとつであるオーストラリアはメルボルンへ向かうことに。そこで知った本場メルボルンの浅煎りのコーヒーの衝撃が、「alt. coffee roasters」の原点になっています。

またオーストラリアはフェアトレードやボランティア活動が活発で、さまざまな問題への人々の意識も高かったのも刺激になりましたね。

- そうして2019年3月にオープンされてから、ワイングラスで飲む「極浅煎りスペシャリティコーヒー」や、社会問題や環境問題に配慮したカフェということでメデイアでもひっぱりだこの「alt. coffee roasters」さん。
まさにお客さんから「愛され、必要とされるカフェ」だと思いますが、なぜそのような存在になれたと思いますか。

千尋さん:めっちゃ素直に生きてるから、だと思います。

嘘をつくのも嫌いだし、日本の接客って過剰過ぎると感じていて。こちらが申し訳なるくらい丁寧だったりして、そういうのもなんか…苦手で(苦笑)。

ここではお客さんとスタッフは対等な存在です。

私はお客さんにも自分の意見を伝えるし、お客さんからも学ぶ。カフェってもともとそういうソーシャルな場所だと思うので。

例えば私はコーヒーを入れることが得意でそれを提供しているけど、お客さんの得意分野から助けてもらったり学んだりもしています。

人と人とのコミュニケーションを大切にしているんです。
だからお客さんも私のことをいち人間として接してくれていると思います。

誰と話すときも、心を開いて笑顔で対応する姿が印象的

-具体的に印象に残っている、お客さんとのやり取りなどはありますか。

千尋さん:嬉しかったのは西洋系の常連さんで、仕事の休憩時間をほとんど使い、自転車をこいでコーヒーを飲みに来てくれる方がいて。

その彼が「ここが唯一人間に戻れる場所だから」と言ってくれたんですね。

どこにいっても外国人扱いなのが、ここではない。ひとりの人間として、違和感なく馴染める場所なんだって。そんなことをわざわざ言うような人じゃないのに、彼の本音が聞けたのは嬉しくて印象に残っています。

私の気持ちがちゃんと伝わっていたんだな、と。

私はただ日々楽しくやっているだけだし、そこには目標や目的がある。

地球をもっとこうしたら皆が幸せになれるのになと、いつも考えているから、そういう専門分野を持っているお客さんから学びや新しいアイデアをもらったりして、私自身がステップアップさせてもらってるくらいなのに。

お客さんにとっても「alt. coffee roasters」がなくてはならない場所になっていたということに、実はコロナでお店が危機にあってはじめて気が付いたんです。

彼女の話は地球規模で、とても壮大。なのに彼女自身は全く偉ぶっていないし、彼女も認める通り素直さがあります。話し方も決して人を説得しようとか、知識を見せようという感じではなく、あくまで「私はこういうことを知っているので教えておきますね、後はあなたが選んで行動してください」、という風にさりげなく温かい。
話すうちに、彼女のことや「alt. coffee roasters」のことをもっと知りたくなります。毎日通ってしまう常連さんたちの気持ちがよくわかるし、通える距離に住んでいる人が正直羨ましいくらい。
さて、vol.2ではコロナ禍においての変化や活動について、さらに掘り下げてお話ししてもらいました。(mia)


▶︎▶︎vol.2「コロナでの気付きが、さらに揺るぎない力に繋がり可能性が広がった

▶︎▶︎vol.3「サスティナビリティやフェアトレードなど社会問題を意識するのは、これからのビジネスでは大前提に

alt.coffee roasters(オルト コーヒー ロースターズ)」
■add:京都府京都市 中京区 神泉苑町 28-4
■open:インスタグラム(@alt.coffee_ro)で随時チェック/不定休
■web:http://altcoffee-roasters.com/

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